研究概要

化粧品のための新たな安全性評価法の開発

安全性評価は安全で安心して使える化粧品に必須の技術です。しかし、古くから化粧品の領域で行われてきた安全性試験は実験動物を使用するものが多くあります。私たちは実験動物を一切使用しない安全性評価のために、皮膚で炎症や刺激がどのように起こっているかを、細胞や人工皮膚などののヒト由来の実験試料を用いてメカニズムの理解を目指しています。

皮膚の免疫

皮膚は外部の環境の変化や病原菌などから身体を守る役割をもちます。アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患では、その皮膚のバリア機能の低下が起き、私たちのQOLを低下させます。小さな細胞小器官やイオンチャネルなどに着目し皮膚の免疫のメカニズムを明らかにすることで、健康な皮膚を実現する革新的な化粧品に繋げます。

汗腺と皮脂腺の機能の研究

皮膚にある汗腺がおかしくなると「多汗症」や「熱中症」などの疾患の原因になると言われています。私たちは、ヒトの汗腺の機能や制御メカニズムを明らかにすることに最近注力しております。その中で、死なない汗腺筋上皮細胞を樹立し、薬剤のスクリーニングに役立てています。また、汗腺の研究の応用展開として、皮脂腺にも着目し、皮脂を制御可能な成分による新しい薬剤や化粧品の実現を目指します。

次世代化粧品の開発

皮膚の健康を維持するメカニズムを分子レベルで理解することで、新しい有効成分を含有する次世代化粧品の開発を推進しています。これらの次世代化粧品をできるだけ早く実現するために、国内外の様々な専門家の協力を得て、分子生物学を応用した新たな評価方法を確立して、有効成分のスクリーニングを行っています。

皮膚が温度を感じるメカニズムの研究

私たちの皮膚は常に温度変化にさらされています。Transient Receptor Potential (TRP)チャネルという細胞の感覚センサーに着目して、皮膚がどのように温度を感じて、どのように対応しているのかを研究しています。TRPチャネルは私たちの身体の様々な臓器に存在し、温度や外界の変化を細胞に伝える役割を持つイオンチャネルです。皮膚や周辺器官にも存在することはわかっていますが、まだまだ何をしているか役割が分かっていないものが多いです。私たちはそれら皮膚に存在するTRPチャネルの役割を明らかにすることで、人々の生活に貢献していきたいと考えています。

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